ビタミンE(α-トコフェロール)の効果は?

外用『ビタミンE(α-トコフェロール)』の効果

  • 赤みへの即効性
  • 酸化による炎症性ニキビ予防 & 悪化防止

簡単に原理を言うと、

①酸化(炎症の原因)させる物質を無くす

②炎症性ニキビの原因を消す

効果が出るまでの期間は?

赤みへの即効性:数時間〜1日以内

炎症性ニキビの予防・悪化防止:1〜2週間の継続使用

酸化が炎症を引き起こす

まず、前提として知らないといけないのは「酸化が炎症を引き起こす」ということです。

どのような原理かというと、

① 紫外線を浴びる
② 水分の分解などから•OHができる
酸化がおきる(CH=CH–CH₂–CH=CH– + •OH CH=CH–CH•–CH=CH– + H₂O)
④ 物質自体が変わってしまう
⑤ 細胞膜が“膜でなくなる”
⑥ これを治すために炎症を起こす

つまり、この赤ラインのものができるとダメということ。

さらに、CH=CH–CH•–CH=CH–(=R•)が酸素(O₂)と結合することでループが発生します。

具体的には、

CH=CH–CH•–CH=CH–(=R•)+ O₂ → CH=CH–CH(OO•)–CH=CH–(=ROO•)
⓶ ROO•が上記②•OHの代わりに細胞膜(CH=CH–CH₂–CH=CH–)をCH=CH–CH•–CH=CH–(=膜でないもの)にする
CH=CH–CH•–CH=CH–(=R•)が酸素とまた結合(+ O₂)して⓵からのループになる

外用『ビタミンE(α-トコフェロール)』が作用する原理は?

この『ROO•』と『細胞膜(CH=CH–CH₂–CH=CH–)』が反応することでCH=CH–CH•–CH=CH–(=R•)になるというループを引き起こすので、

代わりに『ROO•』とビタミンE(α-トコフェロール)を反応させるのです。

ROO• + α-TocOH → ROOH + α-Toc•

その結果、CH=CH–CH₂–CH=CH–と反応しないためR•が作られないという理屈です。

ただし、それによってできるROOHが再度ループを起こしますが、GSH(グルタチオン)とその酵素(GPx)が分解するため問題はないのです。

『ビタミンE(α-トコフェロール)』データ

項目内容
成分名α-トコフェロール
別名D-D-α-トコフェロール;エビタミヌム;エプロリン;イリチア;5,7,8-トリメチルトコール;デナモン;ビタミンEα;ベロール;エタミカン;フィトゲルミン;(2R)-2β,5,7,8-テトラメチル-2-[(4R,8R)-4,8,12-トリメチルトリデシル]-3,4-ジヒドロ-2H-1-ベンゾピラン-6-オール;トコファルム;スパビットE;アルファD-トコフェロール;エミフェロール;(R)-3,4-ジヒドロ-2,5,7,8-テトラメチル-2-[(4R,8R)-4,8,12-トリメチルトリデシル]-2H-1-ベンゾピラン-6-オール;(R,R,R)-α-トコフェロール;シントフェロール;ビテオリン;(2R)-2-[(4R,8R)-4,8,12-トリメチルトリデシル]-2,5,7,8-テトラメチル-3,4-ジヒドロ-2H-1-ベンゾピラン-6-オール;α-Tocopherol;VITAMIN E OIL;D-ALPHA-TOCOPHEROL;tocopheryl;VITAMINE E;D-α-Tocopherol;D-A-TOCOPHEROL;All-rac-alpha-tocopherol for peak identification CRS;verrol;covi-ox
CAS番号59-02-9(無水)
分子式・分子量C₂₉H₅₀O₂、430.71 g/mol
最小有効濃度(MEC)0.1%(抗酸化・抗炎症活性開始濃度)
最適治療濃度(OTC)1.0~2.0%(皮膚保護・抗炎症目的での外用)
最大耐容濃度(MTC)5.0%(皮膚刺激が見られない外用上限)
医薬部外品における有効成分の濃度範囲0.1〜3.0%(厚生労働省薬用化粧品基準に基づく)
融点2.5–3.5°C
水への溶解度(25°C)不溶性(<1 mg/mL)
LogP(脂溶性指標)10.96(高脂溶性)
一次標的(すべて)① 活性酸素(ROS)中和反応系 ② 過酸化脂質鎖反応(lipid peroxidation chain reaction)終端子として作用 ③ 酸化ストレスセンサー(Keap1-Nrf2系の修飾部位) ④ ミトコンドリア膜脂質の安定化部位(カルジオリピン周辺)
保管方法遮光、冷蔵(4~8°C)、密栓して酸化を防止すること。酸化防止剤(BHT等)を加えて安定化することが多い。
併用不可強酸化剤(過酸化ベンゾイル、過酸化水素等)、強アルカリ剤、銅・鉄イオン(酸化促進)
副作用稀に皮膚刺激感、発赤、接触皮膚炎
安全性評価EWGスコア:1(最も安全)、皮膚刺激性・感作性:極めて低、ヒト経口・外用毒性:ほぼなし。欧米・日本において化粧品・医薬部外品への広範な使用実績あり。

コメント

タイトルとURLをコピーしました